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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

「うむ」

「さ、行こうか」

駕屋は、手拭を、棒鼻へかけて、肩を入れた。

「あれが、叡山か」

「へえ」

益満は、一日先に立って行った小太郎が、何うしたか?

(道中一本筋で、何っかで、逢う筈だが)

と、思いながら、駕の中で、腕組をして、凭れ込んで、じっと、叡山を、眺めていた。

(先に、叡山へ行ってみるか、それとも、京へ寄って、牧の行方を聞いてみるか?)

益満は

(助太刀をしてやりたいが、俺の仕事を、まず片づけてから――小太郎一人を殺したとて、牧一人を討ったとて――それは、天下の形勢に、何んでも無いことだ。俺は、今、天下のために、働かねばならぬ。天下には、今、俺でないと出来ぬことがある。西郷でないと、やれぬことがある。天下の勢いも勢いであるが、それを導くものは、人物だ。大義、親を滅す。小太郎のことは、余力で為すべきだ)

益満は、叡山から、眼を放した。そして、そのまま、じっと、眼を閉じて、考え込んでいた。

「はい――はい」

駕が、誰かに、声をかけて、通り抜けたらしかった。その刹那

「おやっ」

と、いう声がした。益満が

(南玉に似た声――)

と、感じた時、駕の後方に、走って来る足音がして