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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

「俺、その刀をもらって、金のかたにせんとのう」

と、云って、横を向いてしまった。益満が

「庄吉、ついて参れ。小太郎一人でよい。牧の消息を知ってからのことにして、遅うはない、ついて来んと、深雪を、島原へ、叩き売ってしまうぞ。ついて来い、ついて来い、とっとと、ついて来い」

益満は、節をつけて、ついて来い、といいながら、歩き出してしまった。深雪が

「お兄様」

「行けっ、心配すな」

益満は、足早に、四人は、そろそろと、橋の上を歩いて行った。

瀬田の橋の下に、もう、一刻近くにもなるであろうか、小舟が一艘、じっと、していた。

「この湖から、竜宮へ通じるというが、こうして見ていると、成る程、綺麗な水で、何かが、水底にありそうだの」

一人の船頭が――姿は、船頭であるが、武士の言葉で、こう低く云った。

「うん」

一人は、腕を組んで、眼を閉って、身動きもしなかった。二人とも、頬冠りをしていたが

「一度、様子を見るか」

と、水の面から眼を放すと

「ああああ、畜生っ」

と、欠伸をしてから

「もう、来なくちゃならぬ、陽ざしであるが――」

と、呟いた。

「追っつけ来るであろう」

一人は、未だ眼を閉じたままで、答えた。