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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
「いかんと申しても、これで、気が済む。何うも、短銃は、便利は便利だが、武士の用具ではないのう。矢張り、近づいて、刺すのが、一番確かのようじゃ。こんなもので、遠いところから、どんと、やらかして、命もありますよう、逃げられますよう、対手を殺しますよう――そんな覚悟で、人を殺そうというのが、土台おもしろうない。異邦人共の心懸けは、こんなもんかも知らん。隼人の持つべき武器ではない。玩具――こけ脅かしで、こいつあ、音でびっくりするのう、雀を追っ払うのにええ」
伊牟田は、帆を操って、追手の船を、眺めながら
「あんな小舟に、七八人も――馬鹿め、舟足がおそくなるだけではないか」
「何うせ、将曹の手下共じゃ。一つ、あの舟を狙って、撃ってやろうか」
艪を漕ぎながら、振向いた。
「無益の殺生はよせ、唐崎辺へつけて、叡山から、雲母越えに戻ろう。大津は、危いかも知れん」
「然し、恭平、これを熟練して、百歩にして、柳葉を撃つ、というようになれば、剣など廃るの」
と、有村は、板の上の短銃を、じっと眺めていた。
「心さえ到っておったなら、この短銃と、三十歩にて、小太刀で立合える、と、わしは思う――将曹対手に、命を棄てるのも、と、そんな心掛けでは、矢張り討てんのう。