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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
「将曹を呼んだのは、外でもない、明日、この隠居願を持って、筒井殿の邸へ参り、阿部殿へ伝達を乞うよう」
「では、大殿に――」
と、いって、将曹が、立とうとするのを
「父上は、お臥みなされた。伝達せよと、予が、聞いて参ったのじゃ。これにて、父上への世上の非難も消える。母上、いらぬことをお考えなされずに、早く、お眠みなされませ。今夜は、身も、ゆっくりと眠れる。将曹、何を浮かん顔をしておる」
お由羅と、将曹とは、自分の膝を凝視めて黙っていた。
下城して来た斉彬は、いつもより、眼の微笑が、少かった。出迎えの家来達――いよいよ正式に御世継の決まる日と、薄々洩れ聞いて、喜んでいた家来達は
(模様更えになったのであろうか)
と、思った。
(今に、今にと、懸声ばかりで、本当に決まらなかったのが、大殿、御自身から、今度は、隠居願を出されて――これで、目出度く、御相続ときまったのに――あのお顔は?)
と、思うと、又何かしら、不慮の故障が入ったのではなかろうかと、何に怒っていいか、相手の判らぬ憤りが、起ってきた。そして、俯向いて、斉彬の、歩いて行く足音を聞いていたが
(何かあったにちがいない)