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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

小太郎は、そう云いながら、刀を提げて、立ちかけた。

「今度の牧の警固方は、三人と聞いたが、人情、紙よりも薄いではないか」

「国許の奴等に逢わんか、大分参っておるぞ。それに、他藩の志士もおる」

「誰々」

「伊牟田、平野、梅田と云ったような連中だが――」

「矢張り、人情紙の如きではないのか?」

小太郎は、立上って、刀を差しながら、笑った。益満は首を振って

「いいや、代々上に立って、徒らに、高禄を食んだ奴は、こうした激変の時代に当って、只、失わんことを恐れて、事大的になる。だから、紙となり、軽薄ともなるが、今集まっている代物の如き、もうこれより下れん、落ちられんというところの、底の底におって、反溌しようとしている奴等だ。この力は恐ろしいぞ。十分の闘力を、肚をもっていて、押しつけられていた奴等だから、風雲を得たなら、何処まで、登って行くかも知れん」

二人が、話しておる間にも、二階では、吟声が、足音が、拍子が、轟いていた。

「所司代は、よく、黙視しておるの」

「もう所司代は無力だ。去年と、それだけ、時世が変った。この激変は、恐らく、斉彬公の明を以てしても、お判りにはなるまい。