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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁

青空文庫

山内は、叡山での、小太郎の腕を知っていたが、二人は、それに就いて、見たこともないし――ただ、八郎太斬死の噂を聞いているだけであった。そして、二人は、二人ながら、相当の使手であったがゆえに、二人を、小太郎よりも劣ったように考えているらしい山内の言葉に、反感をもった。それで

「去れ、去らぬと、斬るぞ」

と、一人は、叫んで、刀へ手をかけたし、一人は、もう抜いてしまって、山内が、もし近づいたなら――斬りかかったなら、それよりも早く、小太郎を斬ってやろうと、足も、腰も、十分に構えていた。

「貴殿等に、用はない。牧を討てばよい」

「去れと、申すに」

「去れと申すのが、判らぬか」

小太郎は、山内の近づくのを見て

(三人を対手にしては、面倒だ)

と、感じた。だが、なるべく、斬りたくない、とも思った。それで、口早に

「不忠者っ。御当代の公達を呪う輩を、守って、それで、薩摩隼人かっ」

と、怒鳴った。そして、返事によっては、斬ろうと、柄へ手をかけた。山内が

「待て、待て」

と、叫びつつ、近づいて来た。一人が

「無益だっ」

と、叫んだ。そして、一足引いた。一人が、山内の方へ、ちらっと向いた。