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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
二三人の、同じ姿の軽輩達が、近寄って来た。
「今までは、おすがり申していたが、お亡くなりになって、己一人でやらなければならぬと、思うと、おれは、こうして、じっとしているのでさえ、惜しくなってきた。斉彬公と共に、これまでの月日が去ってしまって、ちがった陽の下に、生れ帰って来たような気がする」
五代才助が呟くようにいった。
「わしも、昨日までのわしではなくなった」
と、一人が呟いた。一人の上席の者が、この一群の側へ通りかかって
「隼人が、何を悲しむ」
と、いいすてて、行ってしまった。才助が、その後姿へ
「もう、お前らは、対手にしないぞ」
「相手は、天下だ」
「徳川だ」
「異国だ」
立っている堀の石垣の上から、鹿児島の町は、磯浜の方へ、低く、充満して、連なっていた。浜には、斉彬公の定めた、日の丸の船印の船が。その前には、オランダ人の驚いた、新鋳の大砲庫が。松林の中には、反射炉の頭が。その手前に、紡績工場が――斉彬は、死んだが、それらのもの――日本全体を対手としても戦いうる精鋭な武器が。やがては、日本に富をもたらすべき生産設備が。右の方、城内の武器庫にも、眺めているその前方いっぱいに。