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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
線上閱讀直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 頁
薩摩には、天嶮がある。誰が、入れるものか」
と、評した。そして、下級の士は、磯浜の堤の中に、沈黙している、その反射炉から生れてきた大砲を、撫でながら、或る者は、泣き、或る者は憤り、或る者は、叫んでいた。
(斉興が立とうと、久光が、立とうと、わしらの志は、変らないぞ。わしらは、それぞれ、斉彬公のお志をもつものだ。吾々の一人一人が、それぞれ天下の難に当るのだ。一人で、日本を背負って立つつもりなのだ)
三人集まれば、五人集まれば、斉彬の遺訓を口にしていた。
軽輩が、何をしても、だまっているのを、将曹等は、斉彬が亡くなっての失望だと、考えていた。
それで、硝子工場を、機械方を、造船を――斉彬が、日本の進歩のために、研究し、設備しておいたすべての事業を、「経費節約」と、いう名の下に、停止させてしまった。そうして、実際また、それらのところで働いていた人々も、斉彬を失っては、完全な仕事をし得なかった。
斉彬の、遺しておいたこうした形が、だんだん荒れて行くと共に、軽輩の力は、ますます内部で潜興してきた。上士の方からも、軽輩へ、近づこうとする人が、生じてきた。軽輩の中の無為な人々が、同僚の言行に対して、理解を持ち出してきた。