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しんぺんちゅうしんぐら

新編忠臣蔵

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新編忠臣蔵(しんぺんちゅうしんぐら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 337,181 字 · 676 頁

青空文庫

槍を上げて、ぶすぶすっと天井を突いて廻ったり、或者は、床板を剥がしたり、戸棚という戸棚は蹴破り、そして、槍や太刀で掻廻してみる。

『急くまい。慌てめさるな!』

吉田忠左衛門は、余りに味方の人々が焦立っているので、こう云い廻っていた。

『――夜が明けても、見つからねば、明日一日かかっても、探し出すまでの事。すでに吉良殿が、夜来在宅の事は、衆智を極めてたしかめたところ。又、こよいの手配にも水も漏れては居り申さぬ。あわてずに、落胆めされずに、邸内隈なく、念を入れておさがしあれ』

忠左衛門のことばには、常に不思議な信用があって、一党の者は、いつの場合でも、彼の声には信頼をもち、又、力をつけられる気がするのだった。

隠居の寝間はどこ? 居間はどこ? 茶室は何う? ――とそういう問題は、討入以前から、ずいぶん手を尽して偵察してみたことだし、間取図面も、忠左衛門の手にあって、十分、予備知識はあったつもりであるが、さて、こう狼藉に踏み荒してみると、一向、絵図面の知識は役に立たなかった。

それに、思いがけないところに、隠れ部屋があったり、茶室が出来ていたり、そこが居間か、ここが寝間かと、迷わずには居られない広さでもあった。