輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新編忠臣蔵(しんぺんちゅうしんぐら)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 337,181 字 · 676 頁
近くの酒屋だった。
戸を開けて、何気なく此方を眺めた亭主は、ぎょっと、顔色を失って、あわてて又、開けた戸を閉めかけていた。
『開けろ、開けろ』
安兵衛が駈けて行って、顫えている亭主を宥めているらしい。笑いながら、手を挙げて一同をさし招いたので、皆そこへ集まった。金を与えて、
『亭主、その菰被りを一樽、軒下へ出せ』
湯呑茶碗を一つずつ持って、人々は、歯に沁むような冷酒に喉を鳴らした。
東の空は、ほのかに、曙めいて来るし、吉良上野介の首級は、白小袖に包んで、槍の穂に括りつけて高く持っているのである。
『アア、骨にまで沁みて美味い』
と、誰か云った。
内蔵助も、茶碗をうけた。
老人たちも、舌を鳴らして飲んだ。
『この味、死んでも、忘れられまい』
十内老人が、からからと笑って云う。
大高源吾や、富森助右衛門は、酒屋の亭主に硯を呼んで、何か、俳句らしいものを書きつけている。
『どれどれ、見せなさい』
それをさし覗いて、奥田孫太夫が、吟誦した。
『――山を裂く力も折れて松の雪。大高子葉の句じゃ』
『うむ』
皆うなずいて、
『助右のは』
『――寒鳥の身はむしらるる行方かな』
『佳吟だ』