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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁

青空文庫

彼はそのまま階段をおりた。

戸外へ出ようとして扉に手をかけた時、ふ、ふ、ふと笑うような声がした。揮り返って見ると、見附の窓の中に宵のままの老婆が大きな眼鏡を見せていた。謙作は気もちがわるいので、宜くは見もしないで戸外へ出た。

朝陽がむこう側の屋根瓦を寒く染めていた。労働者が群をして狭い街路を往来していた。謙作は海岸の方角が判らなくなっていた。彼は人に訊こうと思った。

「しょうしょう伺います、海岸の方へ往くには、どう往ったら宜いでしょう」

三人伴の道具箱を肩にした大工の一人を見つけて訊いてみた。

「俺達も海岸へ往くところだが、海岸はどこかね」

「台湾航路の汽船の会社のある処ですがね」

「それじゃすぐだ、俺達に跟いて来るが宜い」

謙作は三人の後から跟いて往った。狭い街路から電車通りへ出て、線路を横切ってむこうの広い街路へ入ったところで、三人の大工はどっかへ往ってしまった。

「しょうしょう伺います、海岸の、台湾航路の汽船会社のある方へは、どう往ったら宜いのでしょう」

謙作は海員のようなマドロスパイプを啣えて来た男に訊いた。

「それは、この横町を往って、それから三つ目の街路を、右へ折れてけば宜い」