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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁

青空文庫

マドロスパイプはすぐ左の方に折れている横町に指をさした。謙作はその方へ歩いて往った。そして、三つ目の街路を見つけて、それを右へ折れて往ったが、海岸へも来なければ会社らしい建物も見つからなかった。

「海岸はまだでしょうか」

謙作は鰌汁の荷をおろしている老人に訊いた。

「ここは山の手じゃ、有馬の温泉ならそう往っても好いが、海岸はあべこべだよ」

老人はもと来た方へ指をさした。謙作はしかたなしにとぼとぼと引返した。そして、歩いているうちに路が判らなくなった。

「海岸はどう往ったら宜いでしょう」

「これから、右の方へ往ったら宜いが、よっぽどありますよ」

謙作はまたその方へ往った。しかし、依然として海岸は来なかった。

「このあたりに食事をする処はないでしょうか、どこでも宜いのですが」

謙作は空腹のことから旅館へ入って、旅館から電話をかけるなら宜いと思いだした。彼は旅館を尋ねて往った。

「旅館ならこの前にあるよ」

謙作は教えられた方へ往ったが、旅館は見つからなかった。

謙作はへとへとになって黄昏の街路を歩いていた。

「まあ、今まで何をしていらしたのです、奥様がどんなにお待ちしているか判りませんわ」