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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁

青空文庫

広義はいきなり膝の上へ飛びあがって、それから一方の足を背のほうから右の肩へ廻すなり、肩の上に馬乗になって額に両手をかけた。

「やあい、やあい、肩車になったのだ」

広巳は広義の足に両手をかけた。

「按摩さんの大将は、馬に乗れないから、肩車に乗ったのか」

「なんでもいいやい」お町のほうを見て、「お町の痴やあい」

お町は広巳に云いたいことがたくさんあった。

「坊ちゃん、叔父さんは、お疲れになってるのですよ」

「疲れるものかい、叔父さんは、昨夜、品川のお妓楼へ往ったのだい」

お町は口がふさがった。広巳は笑いだした。

「そうか、そうか、叔父さん、品川へ往ったのか」

「往ってたのだあい、品川のお妓楼へ往ってたのだあい」

「何人がそんなことを云ったのだ」

「お母さんが云ってたのだあい」

「なに、お母さんが」

「云ったのだあい、云ったのだあい」

同時に広巳は腰をあげた。広義は落されまいとして広巳の額にやっていた手に力を入れた。

「この小厮をどこかへおっぽりだして来る」

広巳は庖厨口からゆるゆると出て往った。出口には車井戸があって婢の一人が物を洗っていた。車井戸の向うには一軒の離屋があった。