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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁

青空文庫

それが広巳の起臥している室であった。広巳は離屋の前を通って広場へ出た。そこに梅の木があり槇の木などがあって、その枝には物干竿をわたして洗濯物をかけてあった。

「おい、ひろ坊」

「うん」

「この木の上へほりあげてやろうか」

そこには枝の延びた槇の木があった。

「厭だい」

「それじゃ、天へほりあげてやろうか」

「厭だい」

「そんな弱いことで、どうする、男は何時でも、腹を切らなくちゃならんが、汝は腹が切れるか」

「厭だい」

「厭だ、怕いのか」

「怕くなくっても、厭だい」

「怕くないのに厭だと云う奴があるか、弱虫、しっかりしろ」

「しっかりしてるのだい」

「しっかりするものか、しっかりしてないよ、ほんとにしっかりしないと、たいへんだぞ、お父さんは人が好いから、どんなことになるかもわからんぞ、汝になにを云ってもわかるまいが、ほんとにしっかりせんと、鮫洲の大尽の山田も、屋根へぺんぺん草が生えるぞ、しっかりしろよ、しっかり」

「しっかりするのだい」

「そうかしっかりするか、しっかりせんといかんぞ、お父さんは人が好いから、どんなことになるかも判らんぞ、しっかりしろよ、汝はまだ何も判らんが、困った奴を背負いこんだものだ、畜生、弟にまでふざける奴だ、兄貴が可哀そうだ」