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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁
「どうもおかしいなあ」
広巳は考えた。
「お入りくださいましたら、すぐお判りになります、どうぞ」
嫂でなければたいしたこともない。どこへ往こうと云う当もなしに歩いているところである。とにかく入ってみようと思いだした。広巳は前方が知っていて己の知らないと云う女に好奇心を動かした。
「ほんとに、わたしですか、人違いじゃないですか」
「けっして人違いではございません、どうかお入りくださいまし」
「そうですか、じゃ」
広巳は少女の方へ往った。垣根には茨のような白い小さな花を点々とつけていた。
「こっちですか」
こっちは判っているが何かしらきまりがわるいので聞いてみた。
「はい」
少女は紫の矢絣の袂をひるがえして前に立って往った。門の中には禿びて枝の踊っているような松の老木があり、椿の木があり、嫩葉の間から実の覗いている梅の木があって門の中を覆うていた。少女はその樹木の枝葉の間を潜って広巳を導いた。そして、ちょっと往ったところで樹木の枝葉がなくなって、お花畑のような赤白紫黄、色とりどりの葉を持ち花をつけた草庭になって、その前に枌葺の庵室のような建物があった。
四方には麗な陽があった。