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はるいくたび

春いくたび

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《春いくたび(はるいくたび)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 70,094 字 · 142 頁

青空文庫

四

銃声はやんだ。

霧に包まれた梟谷は、急にひっそりとしずまりかえって、遠く谷川の水音だけがさわやかに聞えている。――銃をとって部署についている兵たちは、この濃い霧のなかの、どこからおそいかかるかも知れぬ敵を思って、ねらいうちの姿勢をしたままかたずをのんでいた。

たすけに行った小隊がもどってきた。

きずついた四名の斥候をたすけながら。……十名だしてやった斥候が、四名になっているのだ。そのうえみんな重傷を負っている。

「――どうした」

半九郎が走りよってさけぶと、

「隊長、残念です」

と一人が苦しそうに答えた。

「あの道には敵がいます。両がわの山にいるんです、人数はわかりませんが、相当にいる様子です、――我々が切通しへかかるのを待って、退く道をふさぎ四方から急に射ちかけました、あの道はだめです」

いいおわると共にその兵は気絶してしまった。

「よし、早く手当をしてやれ」

半九郎はそういって広場へもどった。

敵は裏山にいる、そしてこの砦を見下して攻める時期をねらっているのだ、――半九郎はすぐにまたふた組の斥候を出した。

ひと組は草苅峠へ。

ひと組は月山道へ。

四

ふた組はそれぞれの方向へ出て行った。