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はるいくたび
春いくたび
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《春いくたび(はるいくたび)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 70,094 字 · 142 頁
「なおまた、他にのぞむことがあればもうせ、元親にかなうことなればききとどけてつかわす、どうじゃ」
「は、おそれいりたてまつる」
伝九郎はしずかに面をあげた。
「分にすぎたるおことば、お礼のもうしあげようもござりませぬ、おおせにあまえ、三カ条お願いがござります」
「ほう、よくばったな、なんじゃ?」
「第一に御加増の儀辞退つかまつりまする」
「なに辞退というか」
「なんとなれば、なんの手柄なくして知行二百貫をいただきました私、もしこのたびの戦いにいささかご馬前の働きありとするも、それははじめて二百貫のお役にたちましたので、その上に御加増をいただく理由がござりませぬ、この儀はかたくご辞退もうしまする」
きっぱりいいきると、伝九郎はひと膝すすめて、
「さて第二のお願いは」
とつづけた。ご家臣の内――田中孫作、中島民部、大浜弾兵衛、渡辺忠右衛門、河井良平と以上五名の方々へ、ただいまこの御前において、私と真剣勝負をお許しくださるよう、たってお願いつかまつりまする」
元親は、さてこそ来たな! と思ったが、こころよくうなずいて、
「よし第二は許す、して第三は」
「勝負のすみし上にて言上つかまつりまする、――いざ五名の方々お出会いなされい」