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はるいくたび
春いくたび
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《春いくたび(はるいくたび)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 70,094 字 · 142 頁
まる一日以上も飲まず食わずのうえに、生死の境をふみこえてきたのだ、十五の乙女のからだにはそこへつくのが精いっぱいだったのである。――どのくらいのあいだ気絶していたかわからない。
「これ、若菜、若菜!」
とよぶ声に、
はっと気づいてみると、自分は本陣の仮屋のなかにいた。燭台があかあかとかがやいて、左右には武将たちがいならび、正面には美々しき出陣のしたくをした壱岐守純忠がいた。
「――あ」
とおどろいてたちあがろうとすると、
「よいよい、そのままでよいぞ」
と純忠が声をかけた。
「今宵のはたらきあっぱれであった、か弱い少女の身でよく大任をはたしてくれたな、――さすがは菊池伝四郎の妹、まんぞくに思うぞ」
「――もったいのうございます」
若菜は悲しげにひれふしていった。
「兄は、兄はお味方を裏切り……」
「まてまて、そのあとは申すな」
純忠は微笑しながらおしとどめた。
「伝四郎は裏切者ではないぞ」
「――え※(感嘆符疑問符、1-8-78)」
「敵陣へかけこませたのは余の申しつけだ、裏切者といううわさを立てたのも、こちらへいりこんでいる敵の隠密にうたがわれまいためだ。――玄蕃、わけを話してやれ」