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しゅんでい

春泥・三の酉

久保田 万太郎

線上閱讀久保田 万太郎《春泥・三の酉(しゅんでい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 86,075 字 · 173 頁

青空文庫

おさわは、世辞でも、けいはくでもなくいった。それほど、ほんとに、おさわは、平常は嫌いで喰べたことのない、その野菜の煮込に感心した。

――外のものにも、好きに、さァ、箸をつけて……

と、白雨さんは、チロリをとり上げては、おさわの猪口を一ぱいにした。

――だめですわ。……そうはいたゞけませんわ。

――まァいゝさ……今夜は、もう、あとは寐るばかりなんだから……

――遠慮しちゃァ、だめよ、おさわさん……

と、年ちゃんも口を添えた。

――遠慮なんかしないわ。

と、おさわはまけずに応えた。

三人だけの、水入らずの宴会は、かくて九時すぎるまでつゞいた。

白雨さんは、酔えば酔うほど、機嫌がよくなった。

それを、また、とき/″\はたしなめつゝ、しかも、決して、無理から切上げさせようとはしない年ちゃんの顔のあかるさ……

――これだ、これなんだ、これでなくっちゃァいけないんだ……

と思ったら、おさわは、急に胸が一ぱいになった。……何が、これだ、これなんだ、これでなくっちゃァいけないんだ、か、自分にもよく分らなかったが……

あくる朝、寝坊のおさわが、何んと、八時まえに目をさました。