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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 156,866 字 · 318 頁

青空文庫

「何だと?」

利助は色を失いました。

「どっちへ行った、伊三兄哥」と平次。

「それが解らないんで」

「――宗太郎が曲者だったんだ、が騒ぐな、騒ぐと飛ぶぞ、――あの野郎、行きがけの駄賃にお品さんをさらったのだろう」

平次は驚き騒ぐ利助、ガラッ八、伊三松を劬めて、外へ飛出しました。

「どこへ行くんだ、銭形の」

利助はすっかり打ちひしがれながらも、お品の身の上を心配して、僅かに若い者と一緒に駆けておりました。

「御厩河岸から、石原へ行ったに違いない、が、金と女を積んで、御船手や橋番の眼を潜るのは厄介だから、多分上手へ漕ぎだしたろう」

「すると」

「船を三隻出そう、御厩河岸から追っかけて一艘、それは八頼むぞ。なるべく人数の多い方がいい」

「合点」

「伊三兄哥は、両国から出せ。俺と石原の兄哥は、竹町から出して逆に行く。――灯の点いている船に用事はねえ、大きな船も調べるだけ無駄だ、灯の無い軽舸でそっと漕いでいるのがあったら逃がすな」

「合点」

平次の号令は周到を極めます。

*

一方はお品、宗太郎に誘われて、何心なく来たのは石原町の河岸、もうすっかり暗くなって、往来もありませんが、宗太郎の足取りだけはよく判ります。