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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 156,866 字 · 318 頁

青空文庫

「解ったか、八」

「それが解らねえから不思議で」

二人は物蔭へ歩み寄っておりました。

「検印のない小判を奪られた事が、奉行所の記録にもないというのかい」

「十年この方ありませんよ」

「はてね?」

「二十年前の帳面まで調べたが、やはりありません」

「フーム」

「二十三年前、金座の後藤へ忍込んで、小判で三千両盗んだ大泥棒があったそうで――」

「少し古いな」

「外には心当りがないそうですよ」

「玉屋の主人は幾つだろう」

「五十幾つでしょう」

「支配人の庄八は六十近いな」

「…………」

「死んだ甚助はまだ赤ん坊だったはずだし、古道具屋の与次郎もほんの子供だった――」

「親分、二十三年前の泥棒なんか詮索しても、何にもなりませんぜ」

「そうかも知れないな」

二人は玉屋から遠く、裏通りを選って、聖堂裏の方へ歩いておりました。

「待て待て、俺は大変な間違いをしていたらしいぞ。――殺された番頭の甚助は、あの朝香炉を持出して、古道具屋へ行く前にどこかへ隠した――とまでは考えたが、表通りばかり捜したのは大手ぬかりだ。ちょっと裏通りへ廻って、隠し場所を捜せないはずはないわけだ」

「どこへ行きなさるんで、親分」