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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Read 三国志(一) (さんごくし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 309,839 characters · 622 screens
「おそろしい奴だ」
公孫※(「王+贊」、第3水準1-88-37)は、胆を冷やして、潰走する味方とも離れて、ただ一騎、山間の道を逃げ走ってきた。
すると後ろで、
「生命おしくば、馬を降りて、降伏しろ。今のうちなら、生命だけは助けてくれよう」
またも文醜の声がした。
公孫※(「王+贊」、第3水準1-88-37)は、手の弓矢もかなぐり捨てて、生きた心地もなく、馬の尻を打った。馬はあまりに駆けたため、岩につまずいて、前脚を折ってしまった。
当然、彼は落馬した。
文醜はすぐ眼の前へ来た。
「やられた!」
観念の眼をふさぎながら、剣を抜いて起きなおろうとした時、何者か、上の崖から飛下りた一個の壮漢が、文醜の前へ立ちふさがるなり、物もいわず七、八十合も槍を合わせて猛戦し始めたので、「天の扶け」とばかり公孫※(「王+贊」、第3水準1-88-37)は、その間に、山の方へ這い上がって、からくも危うい一命を拾った。
文醜もついに断念して、引っ返したとのことに、公孫※(「王+贊」、第3水準1-88-37)は、兵を集めて、さて、
「きょう不思議にも、自分の危ういところを助けてくれた者は、一体どこの何人か」