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しょうせつ ほととぎす
小説 不如帰
徳冨 蘆花
Read 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) by 徳冨 蘆花 (とくとみろか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 129,742 characters · 256 screens
七の三
いいかい、卿は御隠居の※(「女+息」、第4水準2-5-70)だ、とそう思っていなけりゃならん。なあに御隠居が追っつけめでたくなったあとじゃ、武男さんの首ッ玉にかじりついて、ぶら下がッてあるいてもかまわンさ。しかし姑の前では、決して武男さんに横目でもつかっちゃならんぞ。まだあるが、それはいざ乗り込みの時にいって聞かす。この三か条はなかなか面倒じゃが、しかし卿も恋しい武男さんの奥方になろうというンじゃないか、辛抱が大事じゃぞ。明日といわずと今夜からそのけいこを始めるのだ」
言葉のうちに、襖開きて、小間使いの竹「御返事がいるそうでございます」
と一封の女筆の手紙を差し出しぬ。
封をひらきてすうと目を通したる山木は、手紙を妻と娘の目さきにひけらかしつつ
「どうだ、川島の御隠居からすぐ来てくれは!」
七の三
武男が艦隊演習におもむける二週の後、川島家より手紙して山木を招ける数日前、逗子に療養せる浪子はまた喀血して、急に医師を招きつ。幸いにして喀血は一回にしてやみ、医師は当分事なかるべきを保証せしが、この報は少なからぬ刺激を武男が母に与えぬ。間両三日を置きて、門を出づることまれなる川島未亡人の尨大なる体は、飯田町なる加藤家の門を入りたり。