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しょうせつ ほととぎす
小説 不如帰
徳冨 蘆花
Read 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) by 徳冨 蘆花 (とくとみろか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 129,742 characters · 256 screens
三の二
が宵々の夢に入りつ。
田崎が東に帰りし後数日にして、いずくよりともなく一包みの荷物武男がもとに届きぬ。
*
武男は今その事を思えるなり。
三の二
武男が思えるはこれなり。
一週前の事なりき。武男は読みあきし新聞を投げやりて、ベッドの上にあくびしつつ、窓外を打ちながめぬ。同室の士官昨日退院して、室内には彼一人なりき。時は黄昏に近く、病室はほのぐらくして、窓外には秋雨滝のごとく降りしきりぬ。隣室の患者に電気かくるにやあらん。じじの響き絶え間なく雨に和して、うたた室内のわびしさを添えつ。聞くともなくその響に耳を仮して、目は窓に向かえば、吹きしぶく雨淋漓としてガラスにしたたり、しとどぬれたる夕暮れの庭はまだらに現われてまた消えつ。
茫然としてながめ入りし武男は、たちまち頭より毛布を引きかつぎぬ。
五分ばかりたちて、人の入り来る足音して、
「お荷物が届きました。……おやすみですか」
頭を出せば、ベッドの横側に立てるは、小使いなり。油紙包みを抱き、廿文字にからげし重やかなる箱をさげて立ちたり。
荷物? 田崎帰りてまだ幾日もなきに、たが何を送りしぞ。
「ああ荷物か。