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しょうせつ ほととぎす
小説 不如帰
徳冨 蘆花
Read 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) by 徳冨 蘆花 (とくとみろか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 129,742 characters · 256 screens
そんな肝ッ玉の小せエ事でどうするものか。どうだい、お豊」
母の前では縦横に駄々をこねたまえど、お豊姫もさすがに父の前をば憚りたもうなり。突っ伏して答えなし。
「どうだ、お豊、やっぱり武男さんが恋しいか。いや困った小浪御寮だ。小浪といえば、ねエお豊、ちっと気晴らしに京都にでも行って見んか。そらアおもしろいぞ。祇園清水知恩院、金閣寺拝見がいやなら西陣へ行って、帯か三枚襲でも見立てるさ。どうだ、あいた口に牡丹餅よりうまい話だろう。御身も久しぶりだ、お豊を連れて道行きと出かけなさい、なあおすみ」
「あんたもいっしょに行きなはるのかいな」
「おれ? ばかを言いなさい、この忙しいなかに!」
「それならわたしもまあ見合わせやな」
「なぜ? 飛んだ義理立てさするじゃないか。なぜだい?」
「おほ」
「なぜだい?」
「おほほほほほ」
「気味の悪い笑い方をするじゃないか。なぜだい?」
「あんた一人の留守が心配やさかい」
「ばかをいうぜ。お豊の前でそんな事いうやつがあるものか。お豊、母さんの言ってる事ア皆うそだぜ、真に受けるなよ」
「おほほほ。どないに口で言わはってもあかんさかいなア」
「ばかをいうな。