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しょうせつ ほととぎす

小説 不如帰 

徳冨 蘆花

Read 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) by 徳冨 蘆花 (とくとみろか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 129,742 characters · 256 screens

Aozora Bunko

ただしご存じ通りの黒人が赤道近き烈日に焦がされたるため、いよいよもって大々的黒面漢と相成り、今日ちょっと同僚と上陸し、市中の理髪店にいたり候ところ、ふと鏡を見てわれながらびっくりいたし候。意地わるき同僚が、君、どう、着色写真でも撮って、君のブライドに送らんかと戯れ候も一興に候。途中は右の通り快晴(もっとも一回モンスーンの来襲ありたれども)一同万歳を唱えて昨早朝錨を当湾内に投じ申し候。

先日のお手紙は佐世保にて落手、一読再読いたし候。母上リョウマチス、年来の御持病、誠に困りたる事に候。しかし今年は浪さんが控えられ候事ゆえ、小生も大きに安心に候。何とぞ小生に代わりてよくよく心を御用いくださるべく候。御病気の節は別して御気分よろしからざる方なれば、浪さんも定めていろいろと骨折らるべく遙察いたし候。赤坂の方も定めておかわりもなかるべくと存じ申し候。加藤の伯父さんは相変わらず木鋏が手を放れ申すまじきか。

幾姥は帰り候由。何ゆえに候や存ぜず候えども、実に残念の事どもに候。浪さんより便あらばよろしくよろしく伝えらるべく、帰りには姥へ沢山土産を持って来ると御伝えくだされたく候。