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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十三)青い帯

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(十三)青い帯 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 114,244 characters · 231 screens

Aozora Bunko

旗本の次男三男、諸藩のお留守居、腕に覚えの浪人者など、辻斬退治に出かける向きもありましたが、相手はそれに輪をかけた凄腕で、いずれも一刀両断にしてやられるか、運よくて、這々の体で逃げ帰るのが関の山でした。

秋に入ると、辻斬の狂暴さは一段と拍車をかけました。最初は武家ばかり狙いましたが、後には百姓町人の見境がなくなり、ついには斬った死骸の懐中を捜って、紙入、胴巻を抜き取るような浅ましい所業をするようになったのです。

「どうだ八、辻斬退治をする気はないか。こいつは十手捕縄の晴れだぜ。腕自慢のお武家が門並持て余した相手だ」

平次も緊張しきっております。

「付合いが悪いようだが、あの辻斬野郎を相手にするくらいなら、あっしは大江山の鬼退治に繰り出しますよ。――素知らぬ顔をして、摺れ違いざまに、えッ、やッと来るでしょう。気がついてみたら首がなくなっていたなんて、どうも虫が好かねエ」

「何をつまらねエ」

「そいつは強い武者修行か何かに頼もうじゃありませんか。岩見重太郎てな豪勢なのがおりますよ」

「止さないか、八」

「ヘエ――」

「怖きゃ止すがいい」

「へッ」

「八五郎が腰を抜かしゃ、俺が一人でやるだけのことだ。