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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十三)青い帯
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(十三)青い帯 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 114,244 characters · 231 screens
笹野の旦那のお言葉がなくたって、町人百姓の差別なく、ザクザク斬って歩く野郎を、放っちゃおけめえ。今まで無事でいたのは、悪運が強かったんだ」
平次はいつになく昂然として胸を張るのです。
「親分」
ガラッ八は膝っ小僧を揃えてニジリ寄りました。
「なんだ?」
「あっしがいつ腰を抜かしました。え? 親分。あっしはいつ怖いなんて言いました。辻斬や蕎麦切が怖かった日にゃ、江戸で御用聞が勤まりますかてんだ」
「たいそう強くなったじゃないか、八。先刻、辻斬退治より鬼退治の方がいい――って言ったのは誰だっけ」
「そりゃ物の譬えだ。辻斬が怖いわけじゃありませんよ。憚りながらこんなガン首に糸目はつけねエ、どこへでも出かけましょう。さ、親分」
「あわてるなよ、八。お前の強いのはよく解っているが、まだ辻斬や夜鷹の出る刻限じゃねえ。ゆっくり物を考えてよ」
「何をやらかしゃいいんで、親分」
ガラッ八は無暗にせき込みました。
「待ちなよ。差当り研屋を当ってみるのが順当だが、夏から十幾人と人間を斬った奴が、血刀を近所の研屋に出すような間抜けなことはしないだろう」
「…………」
「品物は一つも盗っていないから、質屋を当っても無駄だ。