Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十三)青い帯

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(十三)青い帯 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 114,244 characters · 231 screens

Aozora Bunko

「ヘエ?」

「第一、昨夜の曲者は衣摺れの音なんかしなかったぜ。百五十石や百八十石の御家人じゃ、平常着に羽二重や綸子を着るはずはない。あれは辻斬の疑いを自分の方へ振り向ける心算で、買って出た芝居だったのさ。斬りかける気合だって、真物じゃねえ」

平次はそんなことまで見抜いているのでした。

「それじゃ、真物の辻斬野郎は誰でしょう」

「分らないよ」

「ヘエ――」

「もっとも見当だけはついている。岩井銀之助の近い親類か、無二の友達で、三つ鱗を定紋にしている家を捜してくれ。――駿河台の鈴木町辺だ」

「そんなことならわけはありませんよ」

「見付かったら、念入りに調べて来るんだぜ。いいか」

ガラッ八はもう飛び出しておりました。

それから半日。

「親分、分った」

ガラッ八が帰ったのはもう夕方でした。

「駿河台鈴木町の北条出雲様だろう」

「あ、親分、人が悪いぜ。知ってるくせに」

「いや、お旗本武鑑で見たんだ。――でどんなことが分った」

「北条出雲様は去年亡くなったことは親分も御存じあるめえ」

「そいつは知らなかった。で、跡取りは?」

「北条左母次郎様。――二十七の無役だ。禄高三千二百石、殿様と言われる御身分だが、腕ができて疳が強くて、人付合いが嫌いで、御近所でも疫病神のように恐れている」