Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠3
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠3 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 214.131 Zeichen · 423 Bildschirme
兵馬のことは忘れたことはないのに、幾度もそれを考え直さねばならなくなりました。
深いようで浅い二人の縁、浅いようで深い二人の間、お松にはそれをどうしてよいのかわからない。兄妹のようにして永らく一緒にいたけれど、どうも物足りない。兵馬その人に不足はないけれど、自分よりは仇討の方をだいじがる兵馬が、お松にはどうしても物足りないのでした。
と言って兵馬さんは、わたしを可愛がらないのではない、わたしをいちばん可愛がっているし、わたしもまた兵馬さんがいちばん可愛ゆいけれども、それだけでは頼りがない。わたしがここでほかへお嫁に行ってしまっても、兵馬さんは口惜しいとも悲しいとも思いはしないで、かえって祝って下さるでしょう、それでは詰らない。お嫁に行ってしまったのを、喜んでくれるような可愛がり方ではそれでは詰らない、とお松はそれを物足りなく思いました。駿河の清水港で別れてから、船と共に江戸へ着いたお松。船頭が徳島藩の出入りでここへ世話をされて来てから、兵馬の便りは一度、甲府からあっただけでした。七兵衛は二度ばかり訪ねてくれたけれども、いつも風のように来て風のように帰ってしまう。