Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠3
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠3 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 214.131 Zeichen · 423 Bildschirme
十四
ムクだってそうだ、なんとか役に立ちそうなものじゃねえか、ちぇッ」
米友が舌を鳴らして立っているところへ、お角が帰って来ました。
「親方のお帰り」
と言って、美人連の迎えを受けて楽屋へ入って来たお角が米友を見ると、眼に角を立てて、
「おや、見慣れない人が来ているよ。誰かいないの、ナゼあんな人をここへ通したんだろう、ここへ通して都合のいい人だか悪い人だかわかりそうなものじゃないか、あんな人が小屋の廻りにウロウロしていて人気に触らないと思うのがお目出度いね、ほんとに気の利かないやつらだ」
お角の機嫌が大へんに悪い。美人連のうちの一人が米友の傍に寄って来て、
「お前さん、早くお帰り、親方に怒られると大変だから」
十四
軽侮と冷淡の限りを浴びせられて米友は、悲憤を怺えながらこの小屋を出て来ました。ことに親方のお角はどういう虫の居所か、頭ごなしに米友を罵って、水を浴びせかけないばかりにして、米友を追い出させてしまいました。
いつもの米友ならば我慢しきれないところでしたけれども、感心に深く争わずしてこの小屋を出たのは、日の暮れる時分でありました。
さすがの米友もこの時は、実に口惜しかったと見えて、両国橋の真中に来た時分に、立ち止まって橋の欄干から下を覗きながら口惜し涙をハラハラと落します。