Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠3

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠3 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 214.131 Zeichen · 423 Bildschirme

Aozora Bunko

その度毎に手紙を書いて置いて、それを兵馬の手許に届けてもらうことをお松は何よりの楽しみにしていました。近いうちまた七兵衛が来るはず、お松はこのごろ、部屋にさがると毎夜のように手紙を書くことばかり。今もいろいろと思い悩まされた揚句が、その思いだけを紙にうつすことによって、その憂を晴らそうとしました。

お松は自分の今の生活が至極平穏無事であること、御殿でも皆の人に可愛がられて昔のような心配は更にないこと、朝夕朋輩衆と笑いながら働いていることなどを細々と書きました。自分の身はそんなに無事幸福であるけれども、江戸市中は日に増し物騒になって行って、兇器を抜いた浪人者が横行したり、貧窮組が出来たり、この末世はどうなって行くことかと市民が心配していること、それゆえ滅多に外出はできないこと、附近に薩州を初め内藤家、久留米藩などの大きな屋敷があって、ことに隣りの薩州家などは浪人者がたくさんに出入りして、朝夕戦場のように見えることもあるけれど、こちらのお屋敷は静かであることなどを書きました。そうして幾度か読み直したりした上で、封をしてしまいました。

それを枕元に置いてお松は床に就きましたが、兵馬のことを夢に見ました。