Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

だいぼさつとうげ

大菩薩峠3

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠3 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 214.131 Zeichen · 423 Bildschirme

Aozora Bunko

ほかの女中たちは、昼の疲れで早くから眠ってしまいました。お松は女中部屋の戸を細目にあけて待ち構えています。

屋敷の庭には大きな池があって、池の向うには高い火の見櫓が立っています。お松が夜更けて七兵衛の合図を待つ時分に、この火の見櫓の上に二つの黒い影法師がありました。共に夜番や火の番の類ではなく、覆面をして両刀を差して一人は手に龕燈を携えていました。この二人の武士は相当に身分あるものらしく、櫓の上から、目の下に見ゆる薩州邸の内を仔細に見ていました。そうして一人の丈の高い方が、矢立と紙を取り出しては見取図を作っていました。

お松はそこに人のあることは知らないで、一心に七兵衛の合図ばかりを待っていると、池の中へトボーンと礫の音。

その音を聞いて、お松は立ち上りました。戸を細目にあけると、闇の中ながら、今どこからともなく落ちて来た礫が、池の水を動かして波紋がゆらゆらと汀の水草の根を揺っているのを見て、お松は胸を轟かしながら四辺を見廻しました。続いて第二の礫の音。

この時、火の見櫓の上で見取図を作っていた丈の高い方が、

「今の音は?」

聞きとがめると、

「池の中で魚が跳ねたのでござろう」