Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠3
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠3 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 214.131 Zeichen · 423 Bildschirme
固いということは、女に接する機会がない間に限ったことで、相当の手練を以てすれば、男は必ず色に落ちて来るものである。固いようなものほど落ちはじめたら速度が強いということが、お絹の日頃から持っている信念でありました。だから駒井能登守が、いま甲州道中を、飛ぶ鳥を落す勢いで練って行く時に、これをどうにかしてやりたいということは結局、お絹が持っている唯一の信念から出立するということに帰着しますので、大へんやかましいことです。
駒井能登守に会ってお礼を言ってから、そんな心持を起してお絹は自分の部屋へ帰って来て、
「お松や」
「はい」
お松は静粛に返事をしました。
「お前は後程お茶を立てて駒井の殿様に差上げておいでなさい、それから、まだお風呂がお済みにならぬ御様子だから、お前は殿様のお伴を申し上げてお風呂のお世話を申し上げねばなりませぬ。こんな山家のことで、気の利いた女中はいないし、ああして殿方が女気なしの旅をしておいでなさるのは、何かにつけて御不自由でいらっしゃるし、こうして今夜も私たちが安心して宿へ着くことのできたは、みんなあの殿様のおかげ、それにあのお方は甲府の勤番支配といって、うちの殿様よりはズット上席のお方、神尾の殿様はあれだけのお方だけれど、この駒井の殿様はこれからお大名になるか御老中になるか、出世の知れないお方