Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠3
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠3 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 214.131 Zeichen · 423 Bildschirme
怖いお役人様のお頭であろうと思って来たのに、打って変って優しく思いやりがありそうで、そうかと言ってニヤけた御人体は少しもなく、気品の勝れていることを何となく奥床しく感じてしまいました。
お絹はお松が能登守から頼まれたという手紙を自分が受取って、お松に向っては、
「今、殿様がお風呂においであそばしたようだから、お前は行ってお世話を申し上げて下さい、失礼のないように」
と言いつけました。
お松はその言いつけをも、温和しく聞いて風呂場の方へ行きました。そのあとでお絹は能登守の手紙を手に取ってつくづくと眺めていました。表には「江戸麹町二番地、駒井能登守内へ」と立派な手蹟で認めてあります。
それを見ると、お絹はまたむらむらと変な心が起りました。この手紙は能登守からその可愛い奥方に送る手紙だと感づいてみると、お絹の心が穏やかでありません。能登守の奥方にはまだお目にかかったことはないけれど、能登守があの通り若くて綺麗な人だから、奥方もまた若くて美しい人に違いないとは誰でも想像されることであります。そういうことにはことに敏感なこの女は、あんまり人をばかにしているとこう思いました。