Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠3

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠3 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 214.131 Zeichen · 423 Bildschirme

Aozora Bunko

「はい、畏まりました」

そう言って幸内は、長い桐の箱を小脇にして縁側を離れました。その桐の箱の中にはこのお嬢様の父なる人の、秘蔵の刀が入っているということが話の模様で推察されます。

お君が女中部屋へ帰って針仕事をしている時分に、ポツリポツリと雨が降り出してきました。

「こんにちは」

内にいたお君は、それが幸内の声であることを直ぐに覚りました。実はもう少し早く幸内がお嬢様の言伝を持って来るだろうと、心待ちにしていないわけでもありませんでした。

「どなた」

それと知りつつもお君は障子をあけると、

「私」

「これは幸内さん、よくおいでなさいました」

見ると幸内は、こざっぱりした袷に小紋の羽織を引っかけて傘をさして、小脇には例の風呂敷包の長い箱をかかえて、他行のなりをしていました。

「さあ、どうぞお入りなさいまし」

お君は愛想よく迎えました。

「わしはこれから、ちと他へ行かねばなりませぬ。あの、お君さん、お嬢様がお前さんに会いたいから、手がすいたら遊びに来るようにとお言伝でござんすよ」

「お嬢様から?」

「あい」

「畏まりました、有難うございます」

お君は幸内のお使御苦労にお礼を言いましたが、幸内はそれだけの言伝をしておいてここを出かけて行きました。