Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠3
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠3 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 214.131 Zeichen · 423 Bildschirme
「姉様」
と言って入って来たから、お君は呆れながらも黙って見ておられませんから、
「坊ちゃま」
と立って抱いてお上げ申そうとするのを、お銀様が抑えて、
「いいえ、そうしてお置きなさい。三郎さん、お前はここへ来てはいけないというのに、ナゼ帰りません」
「だって……」
三郎さんは、やはり雨の中に立ってお銀様の面をじっと見ていました。お君はどうしていいのかわかりませんでした。雨の中に傘なしで立った三郎さんの面を見ると、色の白い品の良いお子さんで、この大家の血統として申し分のないお子さんに見えましたが、ただその頬のあたりが子供にしては肉が落ち過ぎて、それがために、もともと人並より大きい眼が、なお一倍大きく見えるのであります。大きいけれども強い光はなく懶いような色で満ちているから、品はよいけれども、どうも賢い子には見えません。
「ここへ来るとお母様に叱られますよ」
「でも……」
三郎さんは大きな眼をキョロリとして、お銀様の方を見ていて立って動こうともしません。雨が降りかかって頭から面に雫がたらたらと流れ、和かい着物がビッショリと濡れてしまっても、少しも気にかけないのであります。