Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠3
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠3 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 214.131 Zeichen · 423 Bildschirme
それをまたお銀様は見ていながら、ただお帰りお帰りと言うだけで、立って世話をしてやるでもなければ、お君が立ちかけたのをさえ抑えてしまった心持が、どうしてもお君にはわかりません。
「早くお帰りというに」
お銀様の権幕は凄くなりました。その釣り上った眼の中から憎悪の光が迸るように見えました。ただ姉が弟を叱るだけの態度ではなくて、眼の前にあることを一刻も許すまじき嫌悪の念から来るもののようでしたから、お君はいよいよわからなくなって、ほとほと立場に苦しむのでありました。
「姉様、お菓子頂戴」
それでも三郎さんは帰ろうとしないでこう言いました。そのくせ、姉の傍へは寄って来ないで遠くから、いじけるように姉の気色を伺って、やはり雨の中に立っているのでありました。キョロリとした大きい眼の瞳孔が明けっぱなしになってしまっているのを見るにつけ、このお子さんは人並のお子さんではないということを思うて、お君はお気の毒の感に堪えられません。
「いけません」
お銀様はキッパリと断わってしまいました。
見るに見兼ねたから、お君はお銀様の抑えるのも聞かずに立って下へ降りて来て、三郎さんの傍へ寄り、