Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠3

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠3 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 214.131 Zeichen · 423 Bildschirme

Aozora Bunko

と言いながら、またもそこへ入って来たのは風合羽を着た旅の男。

「兄さん、すんでのことに、命拾いをして来たよ」

笠を取ったその人は七兵衛でありました。

「やあ、お前様はさいぜんのお客様」

と鍋焼饂飩が叫びました。

「爺さん、飛んだ迷惑をかけちまった、それでもまあ、おたがいに命拾いをしてよかったね」

と言って七兵衛は鍋焼うどんを慰めました。

「でもまあ、命拾いをしたにはしましたがねえ」

と鍋焼饂飩は諦めたような、諦められないような返事をして、恨めしそうに壊れた商売道具を見ています。

「商売道具がこわれたね、爺さん、俺が立替えるよ」

七兵衛はかなり重味のある財布を首から外して、鍋焼うどんの屋台の上へ投げ出しました。

「こんなにいただいちゃあ、こんなにいただいちゃあ済みませんねえ」

と言って鍋焼饂飩は恐縮してしまいました。それには拘わらず七兵衛は上り端へ腰をかけて、

「やれやれ、こうして俺たちは命からがら逃げて来たのに、また物好きな人もあればあるもので、わざわざ斬られにあとを追蒐けて行った人があるようだが、友さん、どうだい、ひとつその槍を担いで様子を見に出かけてくれねえか」

七兵衛は米友を顧みて水を向けましたけれど、米友は苦笑いしてそれに応ずる気色がありません。