Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠4
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme
小さい声で言いながら面を出したのは、思いきや、がんりきの百でありました。
「…………」
お松は呆気に取られていると、
「また参りました」
来なくてもよい男であります。お松は苦りきっていました。
「また参りましたのは、大変が出来たからなんでございます。大変というのは、わたしどもの方の大変ではございません、あなた様の方の大変なのでございます、そのあなた様がこうして落着いておいでになる気が知れません、一刻も早くこの場をお逃げ出しになりませんと、命までが危のうございますよ。それで、わたしどもがまた迎えに上ったんでございます。早くお逃げなさいまし、わたしと一緒にこの宿屋をお逃げなさいまし、取る物も取り敢えずお逃げなさらなくてはいけません。第一お関所破りだけで、命と釣替がものはあるんでございますから、是が非でも逃げなくてはなりません、さあ、お逃げなさいまし」
がんりきは執念深くお松を連れ出しに来たものとも思えるし、また一種の親切で逃がしに来たものとも思われるのであります。けれどもお松は、さすがにこの男の言いなりにそれではと言って、逃げ出す気にはなれないでいると、