Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme

Aozora Bunko

こんなことを胸に問い答えている時に、お君が羽織を入れた黒塗りの箱を捧げて来ました。能登守が筒袖の羽織の紐を解くと、お君はその後ろに廻りました。それを黒の紋付の羽織と着替えさせて、お君はその筒袖の羽織を畳みかけました。

能登守は着替えた羽織の紐を結ぶと、お君は、

「殿様、あの、お髪が乱れておいであそばしまする」

と言いました。

「うむ、それもそうじゃ」

お君は、筒袖の羽織を畳んでいた手を休めて、鏡台を卓子の上に立てました。その鏡は隅の棚の上に置かれてあった、これは洋式のものではなく、磨き上げた丸い鏡でありました。

お君はこうして能登守のために乱れた鬢の毛を撫でつけながら、その鏡にうつる殿様のお面を見ると、恥かしさで手先がふるえて、自分の面が火のようにほてるのに堪えられません。

駒井能登守は客間でお絹と対坐しております。

それは日本式の客間で、二人の間には桐の火桶が置いてありました。お絹は、いつぞやの甲州道中のお礼などを述べました。そうして後に、お絹が言い出したことは案の如く、神尾主膳のこのたびの縁談のことでありました。

「神尾も、ああして置きますると我儘が募って困りまする、わたしが参りましたのをよい折に、ぜひこの縁談だけは纏めて帰りたいのでございまする。