Japanische Klassiker mit Furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme
という言葉が友達間にだいぶ流行り出した。この間卒業して以来足を擂木のようにして世の中への出口を探して歩いている敬太郎に会うたびに、彼らはどうだね蛸狩は成功したかいと聞くのが常になっていたくらいである。
南洋の蛸狩はいかな敬太郎にもちと奇抜過ぎるので、真面目に思い立つ勇気も出なかったが、新嘉坡の護謨林栽培などは学生のうちすでに目論んで見た事がある。当時敬太郎は、果しのない広野を埋め尽す勢で何百万本という護謨の樹が茂っている真中に、一階建のバンガローを拵えて、その中に栽培監督者としての自分が朝夕起臥する様を想像してやまなかった。彼はバンガローの床をわざと裸にして、その上に大きな虎の皮を敷くつもりであった。壁には水牛の角を塗り込んで、それに鉄砲をかけ、なおその下に錦の袋に入れたままの日本刀を置くはずにした。そうして自分は真白なターバンをぐるぐる頭へ巻きつけて、広いヴェランダに据えつけてある籐椅子の上に寝そべりながら、強い香のハヴァナをぷかりぷかりと鷹揚に吹かす気でいた。それのみか、彼の足の下には、スマタラ産の黒猫、――天鵞絨のような毛並と黄金そのままの眼と、それから身の丈よりもよほど長い尻尾を持った怪しい猫が、背中を山のごとく高くして蹲踞まっている訳になっていた。