Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ひがんすぎまで

彼岸過迄

夏目 漱石

Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme

Aozora Bunko

九

あの姉と君のような情愛のある子がどうして離れっ切りに離れられるものか。大丈夫だから安心するが好い」

市蔵は僕の言葉を聞いて実際安心したらしく見えた。僕もやや安心した。けれども一方では、このくらい根のない慰藉の言葉が、明晰な頭脳を有った市蔵に、これほどの影響を与えたとすれば、それは彼の神経がどこか調子を失なっているためではなかろうかという疑も起った。僕は突然極端の出来事を予想して、一人身の旅行を危ぶみ始めた。

「おれもいっしょに行こうか」

「叔父さんといっしょじゃ」と市蔵が苦笑した。

「いけないかい」

「平生ならこっちから誘っても行って貰いたいんだが、何しろいつどこへ立つんだか分らない、云わば気の向きしだい予定の狂う旅行だから御気の毒でね。それに僕の方でもあなたがいると束縛があって面白くないから……」

「じゃ止そう」と僕はすぐ申し出を撤回した。

九

市蔵が帰った後でも、しばらくは彼の事が変に気にかかった。暗い秘密を彼の頭に判で押した以上、それから出る一切の責任は、当然僕が背負って立たなければならない気がしたからである。僕は姉に会って、彼女の様子を見もし、また市蔵の近況を聞きもしたくなった。