Japanische Klassiker mit Furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme
五
と恨めしそうに松本の顔を見た。松本はそれがよかろうと答えたまま、また座敷の方へ取って返して、来客を玄関に送り出した。
小さい蒲団と小さい枕がやがて宵子のために戸棚から取り出された。その上に常の夜の安らかな眠に落ちたとしか思えない宵子の姿を眺めた千代子は、わっと云って突伏した。
「叔母さんとんだ事をしました……」
「何も千代ちゃんがした訳じゃないんだから……」
「でもあたしが御飯を喫べさしていたんですから……叔父さんにも叔母さんにもまことにすみません」
千代子は途切れ途切れの言葉で、先刻自分が夕飯の世話をしていた時の、平生と異ならない元気な様子を、何遍もくり返して聞かした。松本は腕組をして、「どうもやっぱり不思議だよ」と云ったが、「おい御仙、ここへ寝かしておくのは可哀そうだから、あっちの座敷へ連れて行ってやろう」と細君を促がした。千代子も手を貸した。
五
手頃な屏風がないので、ただ都合の好い位置を択って、何の囲いもない所へ、そっと北枕に寝かした。今朝方玩弄にしていた風船玉を茶の間から持って来て、御仙がその枕元に置いてやった。顔へは白い晒し木綿をかけた。千代子は時々それを取り除けて見ては泣いた。