Japanische Klassiker mit Furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme
六
と云って、須永の前へ来た。「どうするんだい」と聞いた須永は、不思議そうに筆と紙を受取った。
「細かい字で書けるだけ一面に書いて下さい。後から六字ずつを短冊形に剪って棺の中へ散らしにして入れるんですから」
皆な畏こまって六字の名号を認ためた。咲子は見ちゃ厭よと云いながら袖屏風をして曲りくねった字を書いた。十一になる男の子は僕は仮名で書くよと断わって、ナムアミダブツと電報のようにいくつも並べた。午過になっていよいよ棺に入れるとき松本は千代子に「御前着物を着換さしておやりな」と云った。千代子は泣きながら返事もせずに、冷たい宵子を裸にして抱き起した。その背中には紫色の斑点が一面に出ていた。着換が済むと御仙が小さい珠数を手にかけてやった。同じく小さい編笠と藁草履を棺に入れた。昨日の夕方まで穿いていた赤い毛糸の足袋も入れた。その紐の先につけた丸い珠のぶらぶら動く姿がすぐ千代子の眼に浮んだ。みんなのくれた玩具も足や頭の所へ押し込んだ。最後に南無阿弥陀仏の短冊を雪のように振りかけた上へ葢をして、白綸子の被をした。
六
友引は善くないという御仙の説で、葬式を一日延ばしたため、家の中は陰気な空気の裡に常よりは賑わった。