Japanische Klassiker mit Furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme
六
けれどもその呑みかけているのが何であるかは、握りの先が丸く滑っこく削られているので、蛙だか鶏卵だか誰にも見当がつかなかった。森本は自分で竹を伐って、自分でこの蛇を彫ったのだと云っていた。
六
敬太郎は下宿の門口を潜るとき何より先にまずこの洋杖に眼をつけた。というよりも途すがらの聯想が、硝子戸を開けるや否や、彼の眼を瀬戸物の傘入の方へ引きつけたのである。実をいうと、彼は森本の手紙を受取った当座、この洋杖を見るたびに、自分にも説明のできない妙な感じがしたので、なるべく眼を触れないように、出入の際視線を逸らしたくらいである。ところがそうすると今度はわざと見ないふりをして傘入の傍を通るのが苦になってきて、極めて軽微な程度ではあるけれどもこの変な洋杖におのずと祟られたと云う風になって、しまった。彼自身もついには自分の神経を不思議に思い出した。彼は一種の利害関係から、過去に溯ぼる嫌疑を恐れて、森本の居所もまたその言伝も主人夫婦に告げられないという弱味を有っているには違ないが、それは良心の上にどれほどの曇もかけなかった。記念として上げるとわざわざ云って来たものを、快よく貰い受ける勇気の出ないのは、他の好意を空くする点において、面白くないにきまっているが、これとても苦になるほどではない。