Japanische Klassiker mit Furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme
十三
「まあ何でも好いから、高等淫売だと云ってくれたまえ」
「はあ」
「はあじゃいけない、たしかにそう云わなくっちゃ。云えますか、君」
敬太郎は現代に教育された青年の一人として、こういう意味の言葉を、年長者の前で口にする無遠慮を憚かるほどの男ではなかった。けれども松本が強いてこの四字を田口の耳へ押し込もうとする奥底には、何か不愉快なある物が潜んでいるらしく思われるので、そう軽々しい調子で引き受ける気も起らなかった。彼が挨拶に困ってむずかしい顔をしていると、それを見た松本は、「何、君心配しないでもいいですよ。相手が田口だもの」と云ったが、しばらくしてやっと気がついたように、「君は僕と田口との関係をまだ知らないんでしたね」と聞いた。敬太郎は「まだ何にも知りません」と答えた。
十三
「その関係を話すと、君が田口に向ってあの女の事を高等淫売だと云う勇気が出悪くなるだけだからつまり僕には損になるんだが、いつまで罪もない君を馬鹿にするのも気の毒だから、聞かして上げよう」
こういう前置を置いた上、松本は田口と自分が社会的にどう交渉しているかを説明してくれた。その説明は最も簡単にすむだけに最も敬太郎を驚ろかした。