Japanische Klassiker mit Furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme
「そうですね」
敬太郎はやむを得ずこういう答をした。すると森本は自分が肱を乗せている窓から一尺ばかり出張った縁板を見て、
「ここはどうしても盆栽の一つや二つ載せておかないと納まらない所ですよ」と云った。
敬太郎はなるほどそんなものかと思ったけれども、もう「そうですね」を繰り返す勇気も出なかったので、
「あなたは画や盆栽まで解るんですか」と聞いた。
「解るんですかは少し恐れ入りましたね。全く柄にないんだから、そう聞かれても仕方はないが、――しかし田川さんの前だが、こう見えて盆栽も弄くるし、金魚も飼うし、一時は画も好きでよく描いたもんですよ」
「何でもやるんですね」
「何でも屋に碌なものなしで、とうとうこんなもんになっちゃった」
森本はそう云い切って、自分の過去を悔ゆるでもなし、またその現在を悲観するでもなし、ほとんど鋭どい表情のどこにも出ていない不断の顔をして敬太郎を見た。
「しかし僕はあなた見たように変化の多い経験を、少しでも好いから甞めて見たいといつでもそう思っているんです」と敬太郎が真面目に云いかけると、森本はあたかも酔っ払のように、右の手を自分の顔の前へ出して、大袈裟に右左に振って見せた。