Japanische Klassiker mit Furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme
百代子の学校朋輩に高木秋子という女のある事は前から承知していた。その人の顔も、百代子といっしょに撮った写真で知っていた。手蹟も絵端書で見た。一人の兄が亜米利加へ行っているのだとか、今帰って来たばかりだとかいう話もその頃耳にした。困らない家庭なのだろうから、その人が鎌倉へ遊びに来ているぐらいは怪しむに足らなかった。よしここに別荘を持っていたところで不思議はなかった。が、僕はその高木という男の住んでいる家を千代子から聞きたくなった。
「ついこの下よ」と彼女は云ったぎりであった。
「別荘かい」と僕は重ねて聞いた。
「ええ」
二人はそれ以外を語らずに座敷へ帰った。座敷では母と叔母がまだ海の色がどうだとか、大仏がどっちの見当にあたるとかいうさほどでもない事を、問題らしく聞いたり教えたりしていた。百代子は千代子に彼らの父がその日の夕方までに来ると云って、わざわざ知らせて来た事を告げた。二人は明日魚を漁りに行く時の楽みを、今眼の当りに描き出して、すでに手の内に握った人のごとく語り合った。
「高木さんもいらっしゃるんでしょう」
「市さんもいらっしゃい」
僕は行かないと答えた。