Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ひがんすぎまで

彼岸過迄

夏目 漱石

Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme

Aozora Bunko

十二

下女に聞いたらもう神戸へ帰ったのだそうです。夜もだいぶ更けましたから、僕も休みます」

十二

「昨夕も手紙を書きましたが、今日もまた今朝以来の出来事を御報知します。こう続けて叔父さんにばかり手紙を上げたら、叔父さんはきっと皮肉な薄笑いをして、あいつどこへも文をやる所がないものだから、已を得ず姉と己に対してだけ、時間を費やして音信を怠らないんだと、腹の中で云うでしょう。僕も筆を執りながら、ちょっとそう云う考えを起しました。しかし僕にもしそんな愛人ができたら、叔父さんはたとい僕から手紙を貰わないでも、喜こんで下さるでしょう。僕も叔父さんに音信を怠っても、その方が幸福だと思います。実は今朝起きて二階へ上って海を見下していると、そういう幸福な二人連が、磯通いに西の方へ行きました。これはことによると僕と同じ宿に泊っている御客かも知れません。女がクリーム色の洋傘を翳して、素足に着物の裾を少し捲りながら、浅い波の中を、男と並んで行く後姿を、僕は羨ましそうに眺めたのです。波は非常に澄んでいるから高い所から見下すと、陸に近いあたりなどは、日の照る空気の中と変りなく何でも透いて見えます。